婚約破棄は笑顔で

婚約破棄

これ以上は無理だった。

「お兄様、私がお父様にお願いしました。お父様を責めないで下さい。」

そう。

今更だが、お兄様は彼等だけでなく、お父様をも断罪しようとしていると気付いた。

「それは違うな。今は責めているのではないよ。」

「いいえ。いいえ、お兄様。先程の言い方は間違いなくお父様を責めていらっしゃいましたわ。少なくとも、私はそう感じたのです。」

「ふむ、なるほど……では、私は愛しい妹の誤解を解くとしようか。いいかい？」

誤解？

あの言い方が？

「この度の婚約はすべて相手側からの申し出で、家柄を考えればすぐに断ることは十分出来たはず。だって、よく調べれば彼等の悪行はわかったはずだしね。私でさえ掴める尻尾をお父様が見逃すとは思えませんから、お父様はすべて把握してらっしゃったのではありませんか？頃合いを見て婚約破棄をするつもりだった……そう、こちらに有利な条件で破棄するために沈黙していた。違いますか？お父様。」

お父様は沈黙し、それはある意味で肯定を示していた。

「私はお父様の意向をある意味で叶えただけ。今まで行動しなかったお父様を注意することはあるが、そのお陰で私には有難いことがあった。わかるかい？」

お兄様の話はわかりにくい。

一体なにが言いたいのか。