0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
沈黙の後、柳井君は小さく息をつく。
「勘でそこまで断言する人は、宗那君が初めてだ。でも、ありがとうね。なんか吹っ切れた気がする」
笑ってお礼を言う彼に、俺はほっと息をつく。
「そうか、柳井君のお役に立ててよかった」
いつも彼に勉強教えてもらっているから、ちょっとしたお礼のつもり。
言葉にしないのは、自分で大きな事を言った後なので少々恥ずかしいから。
「宗那君、よかったら連絡先教えてもらっていい?」
「いいよ」
お互いに携帯を取り出し連絡先を交換すると、時間を見て柳井君が立ち上がる。
「ごめん、親が迎えに来るから先に帰るよ」
「おう、またな」
挨拶もそこそこに帰る彼の肩に、小さな柳井君がいて手を振っていたので、こちらも手を振って別れた。
彼の姿が見えなくなったのを確認して、手元に目を向ければ小さな俺と女の子がいた。
「近くまで送ろうか?」
小さな彼等は、元々本人から離れて動くことはあっても、姿が見える範囲での活動がほとんどだ。
最初のコメントを投稿しよう!