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迷った末ココアを購入したら、売り切れの赤いランプがつく。
手に取ったペットボトルは思いのほか温かく、両手で握っていると隣に人の気配がした。
「うそ、ない!」
驚く声に視線を動かした俺は、危うく手にしたペットボトルを落としかけた。
柳井君が気にしていた女子が、自販機を見てがっかりした表情で肩を落としていた。
彼女の肩には、赤い帽子をかぶりおしゃれな恰好をした小さな女の子が、小さな俺と挨拶している。
この二人は以前と同じだと見ていたら、女の子がこちらに飛び移り、腕をつたい歩いて手元でとまると、ペットボトルに触れホッとした表情を見せた。
なるほど、彼女も俺と同じ事を考えていたか。
納得して視線を上げれば、隣にいた女子が俺の手元をじいーと見ていた。
まさか小さな自分が見えているのかと、お互いの様子を見比べていれば、俺の視線に気付いた彼女が目をそらす。
ペットボトルのそばでは、二人がなにやら話をしている。
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