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見えているのかと考えたが、ペットボトルの方をちらちら見ていた。
相手の考えを予想して、俺は手元にいた小さな二人を肩に移動させ、手に持つペットボトルを相手に差し出す。
「これ、買ったばかりだし、まだ開けてないからどうぞ」
「えっ、でも」
突然のことに目を丸くする。
あそこまで物欲しそうに見られたら、なんだか申し訳ない気持ちになっていた。
ためらう彼女に、俺は「ただし」と自販機のコーヒーを指さした。
「代わりにこれ買ってもらうとありがたい」
同じ値段だし、俺の指先はまだ冷たいから、温かい飲み物は必要だ。
理由を説明すれば、彼女はコーヒーを購入してお互いのペットボトルを交換する。
「ありがとう、宗那君」
「どういたしまして。あの、なんで俺の名前を?」
お互い数回顔を見ただけ、会話らしいことは今日が初めてで相手に名乗ってない。
柳井君が教えたのだろうか? いや、話を聞いた限りじゃ、会話するまでの進展はなかったはず。
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