その2 河田さんの場合

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頭の中であれこれ考えていると、彼女はクスクスと笑った。 「私は、河田葵(カワタアオイ)です。君、この前のテストで社会1位とったでしょう? 前回私1位だったから、続けて1位なればと頑張っていたら違っていて誰か見に行ったから」 「なるほど。俺は、宗那勝馬(ソウナカツマ)だ。そういえば、この前張り出されてたな」 彼女に言われて思い出したのは、先日張り出された塾の結果発表だ。 月1である高校入試を想定したテストは、各教科の順位と全学科合計の順位を教室の前に張り出されている。 学校のテストと見事に重なり、ドタバタしていた記憶しかない。 終わった後の疲れと開放感から、すっかり忘れていた。 「これありがとう。もう教室行かなきゃ」 「うん。こちらもありがとう」 軽く手をあげ挨拶交わし彼女を見送ると、肩に乗っていた小さな彼女に視線を移す。 自分を地面に降ろしてとの仕草に、しゃがみ込むと腕をつたって床に降り俺に一礼して、以前見た足の速さで先に行く河田さんに追いつく。
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