その1 柳井君の場合

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小さな俺が授業途中でいなくなったので、戻ってくるのを待つためだ。 親からや友人からの連絡がないか、携帯を確認していると、袖を引っ張る感覚があった。 帰ってきたかと袖元に目を向けてみたものに、俺は一度目蓋をギュッと閉じて目を開いてもう一度見返す。 見間違えじゃないことを確認し、未だざわめく教室を見回して携帯を机に立てるように両手で持ち直す。 携帯の前には、見慣れた小さな俺。 そしてもう二人、小さな男の子と女の子がいた。 小さい俺が、他の誰かを連れて来る初めての事に、なにしてんだー! と大声で叫びたい。 内心パニック状態で、今すぐ小さな俺を掴んで色々問いただしたい。 出来ないことをあれこれ考え、体が動くのを落ち着かせると 「あー、どうしたの?」 正直、なにをしたいのかサッパリわからないので、素直に問い掛ける。 俺の持つ携帯と同じ背丈の三人。 真ん中にいた小さい俺は、両脇にいた二人の手をとって互いに握手させた。
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