その1 柳井君の場合

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男の子も同じ動作をして見せ、困った表情をしていた。 「まだ、気持ちをお互い伝えてない?」 二人の仕草を見て、思ったことを言えば揃って頷く。 え、こんなにお似合いなのに? 言ってないから、両思いになってるの知らないのか? 驚く俺の前で、二人は手を繋ぎ頭を下げる。 小さな俺は、両手をあわせこちらを見上げてくる。 これまでの彼らの行動を思い返して、なにをお願いしたいのかわかった瞬間、俺は頭を抱えたくなった。 「いや、ムリムリ。人付き合い苦手な俺が、他人の恋愛成就を成功させるとか。無茶苦茶だぞ」 見ている分にはいいが、関わるのはありえない。 消極的な俺に、小さい俺は携帯を持つ手を勢いよく蹴り上げた。 見た目に対して感じる強い痛みに、手握力が弱まり携帯を机から落としてしまった。 「お前なあ、いい加減にしろよ」 お互いに睨み合っていると、男の子が間にはいって来た。 交互に俺たちに向き合い頭を下げる彼に、俺はゆるく首を振る。
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