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聞こえた声に振り返り、相手を見て目を丸くする。
「や、柳井君、な、なにが?」
まずい、聞こえていたか?
内心、ドキドキ状態をばれないよう、普段通りのつもりが言葉をかみまくった。
背中に流れる冷や汗を感じながら、相手の反応をうかがう。
「携帯おとしてる」
「お、おう。ありがとう」
蹴られた拍子に机から落とした携帯を拾い、手渡す彼にお礼を言い、きちんと動くか確認する。
問題なく動くのを見て小さく息をつくと、前に立つ柳井君を見上げる。
机の上では、三人が手を振って応援している。
偶然とはいえ話しかけるチャンスなので、先程の質問に答える。
「明日クリスマスだからどうしようかと。柳井君は予定ある?」
「今のところはない。息抜きでしたいなあ、とは思う」
「だよな。1日くらいは」
あたりさわりない会話をしながら、ふと休憩時間のことを思い出す。
あれ? 柳井君は確か……。
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