その1 柳井君の場合

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脳裏によぎった光景に視線をおとせば、小さな俺と女の子がなにやら話していて、少し離れた所から 小さな柳井君が女の子を眺めていた。 今まさに思い浮かべてはいた事を、小さい俺が再現したのを見て彼らに軽く頷く。 「柳井君は、彼女を誘ったりしないのか?」 「えっ?」 キョトンとする彼を見て、俺はあー、直球すぎてまずったかと頬をかく。 「まあ、なんだ。俺は人観察が趣味というか。休み時間の時よく見てる子いるから、どうなのかなあって」 「……はは、ばれてるね」 苦笑する彼の頬が赤いのは見ないことにして、俺の指摘を否定することなかった。 しかし、前の席の椅子に座ると周りを見回してから、体を前に傾ける。 「宗那君ならどうする? その、上手くいくかな?」 口をつぐむ柳井君の言いたいことはわかる。 俺から見れば、小さい二人の仲むつまじさを目にしているので、大丈夫だと言えるしお似合いだと思う。 ただ、もしも誘うのを失敗したら、という不安が消えない。
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