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脳裏によぎった光景に視線をおとせば、小さな俺と女の子がなにやら話していて、少し離れた所から
小さな柳井君が女の子を眺めていた。
今まさに思い浮かべてはいた事を、小さい俺が再現したのを見て彼らに軽く頷く。
「柳井君は、彼女を誘ったりしないのか?」
「えっ?」
キョトンとする彼を見て、俺はあー、直球すぎてまずったかと頬をかく。
「まあ、なんだ。俺は人観察が趣味というか。休み時間の時よく見てる子いるから、どうなのかなあって」
「……はは、ばれてるね」
苦笑する彼の頬が赤いのは見ないことにして、俺の指摘を否定することなかった。
しかし、前の席の椅子に座ると周りを見回してから、体を前に傾ける。
「宗那君ならどうする? その、上手くいくかな?」
口をつぐむ柳井君の言いたいことはわかる。
俺から見れば、小さい二人の仲むつまじさを目にしているので、大丈夫だと言えるしお似合いだと思う。
ただ、もしも誘うのを失敗したら、という不安が消えない。
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