松井今朝子先生のお話を聞いてきました!

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松井今朝子先生のお話を聞いてきました!

松井今朝子先生は数ある時代小説家のなかで最も力のある先生と思って密かに尊敬しております。その松井先生が現代語訳した『仮名手本忠臣蔵』についてお話くださるというので、池袋のジュンク堂まで行ってきました。 作品を読んでいくのが宿題となっていて初めて『仮名手本忠臣蔵』を読みました。そしてびっくり。本当に口語訳なのね。時代小説風の言葉さえも使っていなくて―それがしくらいは使っていいかと河出書房の担当者に問い合わせたら、皆さん(=ほかの訳者)、普通はお遣いになりませんね、と無情な答えが帰ってきたそうです――最初の数ページは本当に入っていくのが大変でした。でもそこを超えると面白くて(ちょっと原作にあざとい部分があって、それが現代語訳になるとよけい目立つのが少々不快でしたが、先生のせいではないし)一気に読みました。 もうひとつびっくりしたのは、これは3つの恋のお話だったということ。 いやーもう、忠臣蔵といえば松の廊下と、討ち入り、忠義というイメージしかなかったわたしの目からウロコが何枚も落ちました。口語訳を読んで初めて骨格を理解できました。討ち入りは添え物だったのよ。 先生のお話は大変論理的ですっきりしていて、初心者の私にもわかりやすかったです。 それと、松井先生は十段目の出来が極めて悪くて、なんでこんなのを入れたのかなぁ、と浄瑠璃を見るたびに思っていらしたそうなのですが、今回口語訳をしてみて、意外と、この十段目が江戸の庶民には受けたのではないのかなぁとあらためて気づきがあった、とおっしゃっていました。 ちなみに十段目とは、町人(堺の豪商)が大星由良之助(大石内蔵助)から武具の調達を頼まれて「自分も武士だったらこの仇討に加わりたい」と身分を嘆く部分があります。 実は、わたしはもうこの十段目から最後まで泣きながら読んでいたわけで、自分の庶民っぷりを思い知らされたわけでした。 次回は三浦しをんさんかな?また申込みたいと思います。
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