華知らぬ暁、灰色の子犬

「暁、毎回言っているが、瀬戸はきちんと成人した大人だ」

「毎回その話は聞きますけど、信じられません！
　どう見たってこの子、中学生じゃないですかっ!!」

　他の秘書課の人間はボスの説明に納得しているけれど、私はどうにも納得ができない。

　歳が離れた弟がいるせいか、どうしてもこの年代の外見の男の子は姉のポジションから色んな心配をしてしまう。

「ボスが親代わりにこの子を養育してきたってことは知ってます。
　きちんと仕事に対してお給料を出していることも、無茶なことはさせていないってことも知っています。
　でももうちょっと、仕事内容を考えてみてもいいと思うんです。
　中身が大人びてても、子供は昼にきちんと学校に行かせて頭を使わせて、夜はきっちり寝かせなきゃ将来バカになります！」

　私の分を含めたお会計をカウンターの机の上に置き、ボスは颯爽と店を出ていく。

　その後ろを追いかけながら、私はもはや彼を見かけると口にする恒例の台詞を口にした。