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「私を守らなきゃいけない理由なんて、あんたにはないじゃない……!!」
訳が分からなくて、瀬戸から向けられる好意を突っぱねる。
好意の下には、必ず裏があるんだ。
私が無条件に信じられるのは華からの好意だけ。
グッチャグチャな思考の中で、そんな叫びが上がった。
「理由なら、あります」
いつもと同じ声なのに、その声がほんの少し色を帯びたような気がしたのは、きっと私の中がグチャグチャだったからに違いない。
「夏子さんは、いつも僕のことを心配してくれているから」
だけどその勘違いが勘違いじゃなかったなら、その感情には、何という名前を付けたらいいんだろう。
「だから僕だって、夏子さんのことを、心配したっていいはずです」
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