華知らぬ暁、灰色の子犬

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 静かに、だけど凛と力を込めて言い放った瀬戸は、私の前についていた膝を上げるとボスを見上げた。  そんな瀬戸にボスは軽く頷いて答える。 「私の方は大丈夫だ。  神永が近くにいる。  神永に言ってこちらの車を手配させるから、瀬戸は私の車を使って暁を送ってくれ」  その言葉に瀬戸は深く一礼すると、おもむろに私の肩を抱き寄せた。 「!?」 「マンションまで送ります。  足、怪我してますし」 「えっ!?」  フワリと視界が高くなったと思った時には、私は瀬戸に抱き上げられていた。  いわゆる、お姫様だっこという方法で。 「ちょっと、えっ!?」 「暁、怪我が酷いなら、明日は休んでいいからな」 「ボス!! ちょっと待ってください、私は大丈夫……っ!!」
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