華知らぬ暁、灰色の子犬

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「君の御眼鏡に適うとは、佐藤司狼君は中々の男であるようだ」  ボスは丼に両手を添えると、ナイスミドルな外見からは想像もできない勢いでダシを飲み干した。  それに負けじと私も蕎麦を手繰る。  華には『ディナー』と言ったけれど、実際に私とボスが連れ立って入ったのは立ち食い蕎麦屋だった。  ボスの行きつけとあって味はもちろん一品だけど、とてもじゃないがディナーなんていう優雅な空気ではない。  私もボスも、高級料亭やレストランでの食事は接待で食べ飽きている。  同課の人間と食べに出る時は、どうしても粗食を求めがちだった。  私とボスのコンビになると、その傾向はさらに強くなる。
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