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「お食事がお済みならば痴話喧嘩は外でしてほしいと、店主殿が」
毛先が肩にかかるくらいのウルフカットの髪は柔らかな灰色。
常に伏せられた瞳は狼のように金色を帯びている。
スーツの襟元には太めのリボンタイが結ばれていて、私の肩までしかない身長と相まって、まるで学生服を着ているように見える。
「おや、それは申し訳なかったな、瀬戸(せと)」
ボスの私設ボディーガードにしてダミー。
ボスは彼を事の他近くに置くことで『御稚児趣味』……つまり美少年しか愛せない性癖の持ち主であるのだと周囲に勘違いさせている。
「ちょっとボス、こんな時間にこんな場所まで子供を連れてきたんですかっ!?」
もちろん、ボスにそんな性癖がないことを私は知っている。
だけどそれとこれとは話が別だ。
どう見ても中学生、頑張って上に見積もっても高校一年生にしか見えない彼を、夜中にかかる時間帯、飲み屋街の端に位置するこんな場所にボディーガードとして連れてくるのは大問題だ。
これが仕事とはいえども、倫理的にやら道徳的にやら、いろいろあるはずだと私はボスを睨み付ける。
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