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「そう、戦争っすね」
タバコをクルクルと回し、また吸う。
「それ、どういう」
「まんま、ですよ。戦争してるんだから、それに対する検査…ってのです、適性検査、そう言ったっすよね?」
意味が解らない。
戦争してるからといってなんだっていうの?
それが私にどう関係するの?
私はそもそも、この『世界』とかにだって関係ないっていうのに。
その私に検査?
適性検査?
「で、ですね、適性検査の結果なんっすけど」
くわえタバコで目を細める風人に、私は食いぎみに割り込む。
「戦争?そんなの関係ないでしょ!」
口調は自然と荒くなり、声も大きくなる。
体温が怒りで、特に頭が熱くなっていく。
「なんだって関係ない!私を『帰して』よ!意味わかんない!」
「あのっすね」
風人の変わらない感情、口調に私のイライラは更にヒートアップさせられた。
「『帰れる』って思うんですか?」
私は思わず彼のほほに手のひらを。
「!?」
風人は私のビンタを、まるで予測していたかのようにかわした。
私のてのひらは、彼の吐いた煙を空しくはたく。
「暴力はやめましょうよ。『帰る』なんて出来ない…なんとなく解ってるんじゃないんすか?」
確かに。
と、私は心で認めてしまう。
ベッドから起き、現状が夢ではないと把握してしまった時、この『世界』が現実であると確信した。
同時、もし異世界に私が何故か来てしまったというのが本当だというのなら、どう『帰れ』ばいいのか解らない。
何より、『帰る』方法があるのなら。
「僕だって、ナナコさんと同じなんですよ?こちらへ『飛ばされて』から、そのまま『帰れ』てないんです。解るでしょ?」
確かに。
誰だって。
「誰だって、戦争なんかに巻き込まれたりなんかしたくないんっすよ」
風人が私の思った言葉を繋げた。
「でも、『帰れ』ない。だから、仕方なく自分もここに順応してきてるだけっす。俺、何歳に見えますか?」
急に合コンのような質問が来たが、バカにしてるワケでは無さそうだ。
真面目な彼の表情に、私は素直に答えた。
「二十二……くらい?」
「いや、自分は30っす」
「みそじぃ!?」
「はい、こちらに来たら年齢がどうやら変わらないらしいんっすよ、僕ら『アウター』は」
「『アウター』?」
「僕ら、異世界人の事っすね、いわゆる外人的な意味合いの」
言いながら、風人はまたタバコを消した
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