ヒロトの場合

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目を開けた。 ヒロトはパチパチとまぶたを動かし、周りを確認する。 「なんかおかしくね?」 「あん?何がだよ?」 隣に居る男、マサユキがこちらを向いた。 身長は165くらい、体重は…解らないが、俺とあまり変わらないと思う。 プリンになった長めの金髪をした普通の少年。 俺の友達。 年齢が同じ17になったか、なってないか、そんなんは覚えていない。 「この辺さ、こんなんだっけ?」 「おん?…そういやマジでなんかおかしいかもしんねえな」 マサユキはキョロキョロとし、俺も同じようにキョロキョロした。 いつもの街なんだけど、何か変だった。 東京の下町。 タバコ屋裏の公園。 暗くなりかけた、いわゆる夕方。 いつものたまり場だ。 「なに?なんか変じゃね?」 「いや、なにっつわれてもよぉ」 マサユキに適当に答えながら、辺りをゆっくり見る。 何十秒もかけ、確認する。 「…ああ」 「ああ、って、なんか解ったのか、ヒロト?」 「解ったかどうか解んねーけどよ、マサユキ、この道じゃね?道がなんかおかしくね?」 言って、俺は道を指差した。 ボロい家やビルに囲われたようにあるこの公園。 勿論周りに川が無いんだからそこには建物との間に道がある。 その道幅がなんか広い。 大きい?っていうのかこの場合。 「なんかやたら広くね?」 「…うーん、確かにそう言われたらそうかもしんねえな、ヒロトお前、頭よくね?」 ここの道は車がすれ違えるかどうか、それくらいの広さしかなかったハズ。 それが、今見る感じ、トラックがすれ違うのも出来るんじゃないかって思うくらいに広い。 後は特に変わらなく思えた。 いつもの町並み、いつもの公園、いつもの夕方。 だけどそれは明らかにおかしかった。 ここはいつもと違う。 なんのきっかけも無かった。 俺とマサユキが今居るこの町は何かおかしい。 そうだな、異世界、そう言うんだっけ。 そんな感じだ。
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