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「つかさ」
「あん?」
マサユキに振り向く俺。
「んな事よりもタバコ、吸いたくね?」
「あ…そういやそうだわ、学校フケてから吸ってねえもんな、そーいや」
勿論、俺達の年齢ではタバコを吸ってはいけない。
だが、そんな事どうでもいい。
大人が勝手に決めたルールだ。
ダサい格好で偉そうな事ばっか言ってるような大人になんて、そんなヤツらが決めたルールなんて守ってやる気はなかった。
俺もマサユキも、先輩達と付き合ってそう思うようになった。
いわゆる、不良とかヤンキーみたく呼ばれる俺らだけど、真面目に勉強してる同級生みたいにはなりたくないし、あんなダサい見た目のヤツらとなんて一緒に居るのもイヤだ。
「んじゃマサユキ、お前のおごりな、俺はいつものセッタで」
「ああん?なんで俺がお前におごんなきゃなんねーんだよ」
「お前昨日他の学校のヤツからカツアゲして5000円だか儲けたっつってたじゃんか、そんくらいいいだろ?」
俺の言葉に、仕方ないな、という表情をし、マサユキは財布を取り出した。
高校生という身分には不釣り合いのブランド財布。
コレは確か、俺と一緒にカツアゲしたサラリーマンの彼女からパクったもののハズである。
「セブンスターね、はいはい、解りましたよ」
「ごちでーす」
財布を片手に歩くマサユキに俺はついていった。
いつもより広く感じる道。
いつもより広い道。
すぐ近くにあるタバコ屋は、昔から俺達みたいなヤンキーが利用している所だ。
駄菓子も売っているし、この店のばあちゃんは先輩達が同じようにお世話になっていたという。
普段はババアやジジイには態度悪い俺達も、ここのばあちゃんにだけは別だった。
「言っとくけど、一箱だけだからな?」
「わーってるって、ケチ臭いな」
スタスタと歩くマサユキが角を曲がろうとしている。
タバコ屋の入口は曲がってすぐにあり、今俺達が歩いてる横は入口の替わりにタバコの自販機が裏口近くに並んでいる。
タバコ自販機はタスポ?ってカードがあれば買えるんだけど、一度先輩から借りたのを無くしてしまったので使えない。
まあ、タバコ屋のばあちゃんが売ってくれるからここで買えばいいんだけど。
「?」
と、俺はマサユキを見て不思議そうな顔をした、と思う。
角を曲がろうとしたマサユキが突然動きを止めたからだ。
ピタリ、と、まるでリモコンのストップボタンを押されたみたいに
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