第二章 ラキア

27/27
前へ
/320ページ
次へ
「どちらも前提は映像の提供者が何かしら関わっているという事ですね?」 「ただの可能性です。確認するのは自由。実験に失敗はつきものですよ」  九九がそう言って微笑んでから続けた。 「……死因は毒という事ですか?」 「ええ」  熊野御堂は血だまりの中で横たわった神楽芽依の遺体を思い出す。 「首にあった二つの傷から毒を入れられたようです。その傷が死因で出血多量となったと思っていたのですが、実際には即効性の毒により命を落としていただろう、という見解ですね」 「並んだ二つの傷と毒……。まるで毒牙をもつ獣にでも噛まれたようですね」  熊野御堂は苦笑いする。 「人を襲う獣に町を徘徊されるのは困ります」
/320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

728人が本棚に入れています
本棚に追加