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プロローグ
床下に居る女性のつむじを、熊野御堂二は、その真上から見つめていた。
「人の足の裏を見続けるのって、意外と不快なものだったんですね。……私、マッサージ師になる自信がなくなってしまいました」
夜空に浮かぶ満月でも見上げるように、床下にいる女性、蓮見九九が、熊野御堂を見つめながら微笑んでいる。
「そもそもマッサージ師になりたかったんですか?」
と、熊野御堂は機械的に訊いてみた。
「連続殺人犯がマッサージをして喜ぶお客様がいると思われているの?」
九九が形の良い口角をあげる。
「私だったら、ご遠慮しますわ」
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