プロローグ

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 死亡したのは十七歳の少年だ。顔面から出血し、腰や背中にかけて全身打撲の跡が見つかった。  大分県警による司法解剖の結果、死因は頭部に強い衝撃を受けたことによる、急性脳腫脹だと判断された。  数日後、その加害者は十五歳の男子中学生、十六歳の無職少年、十五歳のアルバイト少年、十八歳の男子高校生、二十歳の無職少女、十七歳の派遣社員の計六人だと判明する。  被害者である十七歳の少年は、この六人による集団暴行の結果、死に至っていた。そして、その六人を葬ったのが床下で生活している九九だ。  どうして彼女がそんなことをしなければならなかったのか? その理由は純粋なものだった。  被害者となった少年の姉が九九だったのだ。九九は弟のことを溺愛していたらしい。  連続殺人事件が起きたのはクリスマス・イヴの三週間前の事だった。
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