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「このお話の中で廣瀬社長は殺されるってこと?」
読み終わった春が眉間に皺を寄せた。
「結構、悪どい商売をしているようだからね。人から妬まれたり、恨まれたりするのがステータスだと思っているのか。脅迫めいた手紙が届くなんてルーチンワークの一部ぐらいにしか思っていないんだろう。ただ……」
熊野御堂は春が持っているタブレット端末の画面に触れる。
「この封筒で廣瀬家に直接届けられていた。封蝋で封印されて、印璽、ああ、判子のようなやつ。それが捺されていた」
画面には赤い封筒が写っていた。
「きっと廣瀬社長は感じ取ったんだな」
「どういうこと?」
と、春が小さな顔を傾げる。
「脅しにしては凝りすぎている気がしないか? 一線を越えている、っていうのかな。それでうちの上層部に相談した」
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