第一章 シャマイン

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 熊野御堂は再びタブレット端末に触れた。 「このメッセージカードも同封されていた」  そう言って指差した画面には赤いカードが写っている。 「『聖なる前夜にお迎えにあがります』か。ああ、それで『素敵なおじ様とデート』なんだ? ご愁傷様……。素敵な女性と過ごせないとは」  自宅の床下に美しい連続殺人犯が居るけれど、と熊野御堂は言えない。 「そもそも」  そう言いながら春がタブレット端末に指を這わせる。 「この原稿にある『シャマイン』って何? 天国に一番目なんてあるの?」 「俺も知らなかったんだけれど、ユダヤ教やキリスト教では天国が七つの階層に分かれているらしい」
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