第一章 シャマイン

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「冗談だよ」  そう言いながらタブレット端末を操作し、画面を春に見せる。 「廣瀬征士郎(ひろせせいしろう)を知っている?」  タブレット端末には還暦を過ぎた男性の写真が写し出されていた。恰幅は良い。その年齢と比べれば若々しい外見は四十代に見えなくもない。 「……ああ。確か不動産会社を経営している社長さんだっけ? うちの上層部とも懇意にしているって聞いたことがあるけれど。この人がどうかした?」  廣瀬征士郎は大分県内で最大手の廣瀬不動産を一代で築き上げた人物だ。その傲慢ぶりは両耳を塞いでいても聞こえてくるほどだった。  肝臓ガンに侵されても復活する姿から、『人造人間』と、揶揄されている。 「廣瀬社長の自宅にこれが送られてきた」
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