私はその花びらのじゅうたんの上に転がり、夢を見ていた。

8/35
前へ
/224ページ
次へ
走り出そうとした私に、暁は首を振る。 「俺が会いに来たのはお前の為だから、颯太にはわざわざ知らせなくていい」 「でも、」 「照れくさいのよ。男の子は男の子のタイミングで会えばいいわ。おばさんも家の掃除に帰ろうかな」 「……暁」 「失礼します。ってあら、斎木さん」 「先生」 ポニーテールを揺らしながら、担任の美貴先生が元気よく入ってきた。 体育の先生なので普段からジャージなのだけど、今日は黒のパンツに白のブラウスだった。 「転入生の笹井くんって、斎木さんのお知り合いなの?」 「そうなんです。颯太と私と暁は幼馴染です」 「……そう。じゃあ良かったわね。じゃあ同じクラスだ。よろしくね、暁君」 先生が元気良く笑いかけると、暁は小さく会釈だけする。 そのままおばさんと先生と私と暁は校長室を後にすると、渡り廊下を通り校舎へ向かった。 「それでは、仲良くね」
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加