42人が本棚に入れています
本棚に追加
おばさんがもう一度私を抱きしめると、そのまま玄関へ向かった。
(今日、家に帰ったら隣の暁の家に灯りが付いているんだ……)
なんだか不思議な気持ちで、じわりと熱が広がった。
嬉しくて、満たされた心がじわじわと温かくなっていく。
ずっと私は、暁に会いたかった。
颯太が諦めても私は、――絶対に暁は帰って来てくれるって思ってたから。
「お、おかえり、暁」
教室のドアの前でそう言うと、暁は面倒くさそうにため息を吐く。
それが照れ隠しだというのは、知っている。
「お前には、これから聞きたいことが沢山ある」
「それ、私の台詞なんだけど!」
「……どうして俺が無理して此処に帰って来たか分かるか?」
「え?」
無理して此処に?
悲痛な顔に歪まれた暁の顔と、首を傾げる私。
それをどう会話に入ろうか交互に見る美貴先生。
微妙な空気の中、ホームルームの合図である予鈴が鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!