私はその花びらのじゅうたんの上に転がり、夢を見ていた。

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「はあ!? 暁が!?」 「そう。暁。君の双子の弟くん」 家族の癖に、寝耳に水だったらしい。 食べていたコンビニのパンを思わず落とす。 昼休みになると、部活に体力を温存したい颯太は図書室に来る。 図書室は飲食禁止なのだけど、図書委員用にカウンターの後ろに衝立とソファが置いている。 颯太はソファの背もたれに座り、青空を見上げながらパンを食べる。 私は向かいのソファでお母さんのお弁当を食べる。 「おばさん、家の掃除するって張り切ってたよ。離婚は夢だったんじゃないかな」 「……暁の名字、変わってた?」 「あ、自己紹介しなかったんだ」 「自己紹介しない転校生ってなんだよ。意味分からねえ」 颯太はプンスカ怒っていて、喜んでいる様子が全く感じられない。 兄弟で、6年ぶりなのだから素直になれないってことだろうか?
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