私はその花びらのじゅうたんの上に転がり、夢を見ていた。

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おじさんはこの近くの理化学研究所で農薬の研究をしているので、暁のために都会へ一緒に行くことは出来なかった。 その時、颯太も六年生になってキャプテンとして頑張っていたから着いて行けなかった。 だから二手に分かれただけだと私は思っていたのに、――離婚していたなんて初耳だ。 「おじちゃんとおばちゃん、本当に離婚してるの?」 「知らねえ。でもお袋が離婚するって言ってたし。俺に今まで会いに来てないんだからその通りだろ」 「おじちゃんも暁に会いに行ってないもんね」 うちの親も二人の家族の事を言うことはなかったけど、おじさんと颯太は夏はバーベキューとか素麺流しとか、行事は一緒にしていた。 「百花、いるのか?」 スーッと音も無くドアが開けられ、暁の声がした。 「いるよ!颯太もいる!」 「百花、てめえ!」 「……颯太も?」 カウンターまで暁が現れると、颯太はソファから降りてカウンターを飛び越えて逃げていった。
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