私はその花びらのじゅうたんの上に転がり、夢を見ていた。

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「暁はどうして此処に?」 「お前を探しにきたに決まってるだろ。此処で昼は飯食ってるって言ってたし」 「そうなんだ。まあどうそ座ってよ」 探してくれたのだと思うと、現金な私はにやりと笑ってしまった。 「あのさ」 「うん?」 向かいのソファに座った暁は、王子様みたいな甘いフェイスで落ちつかない様子を浮かべている。 言いにくいことなんだろうと分かったけれど、しばらく様子を伺った。 「俺の入院してた病院の、大学って言うのかな。お前の兄貴に会ってさ」 「お兄ちゃん!?」 「そ。で、睦月兄ちゃんからお前が今、――追い込まれてるって聞いた」
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