私はその花びらのじゅうたんの上に転がり、夢を見ていた。

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暁の言葉に殺意を沸きながらも、大きな海苔を四分の一にする作業を手伝った。 「わあ。暁ちゃん、包丁上手!」 「まあね。かあさんが居ないときは俺が料理してたし。病人だからってコンビニの弁当なんか食べさせれないって、料理叩きこまれて」 キュウリを切り終わると、マグロのブロックを均等な大きさに切りだした。 なんか、料理人みたい。 「……」 暁とおばさんは、6年間手作りのご飯を食べていたんだろうな。 颯太はお昼はコンビニか購買のパンだし、家の玄関前には出前のお寿司のお皿やラーメンの器がよく置かれていた。 おじさんが家事や料理ができないのは明白だった。 颯太とおじさんがいつも店屋物をあの広いリビングで二人食べる。 それを想像すると、どうして二人の運命がこんなに変わってしまったのか不思議だった。
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