私はその花びらのじゅうたんの上に転がり、夢を見ていた。

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6年後――。 10歳の時に、心臓が悪かった暁がこの町から引っ越して行った。 私、颯太、暁の親が幼馴染だったので必然的に私達も幼馴染になっていた。 あの頃、私たちは兄弟の様に育ち、ずっと一緒に入れるのだと思っていたのに。 『助からなかったら嫌だからどこに行くのか言わない。聞かないで。連絡もしない。大人になっても帰って来なかったら、俺は手術に失敗したって思えばいいよ』 小学校の卒業式を待たずに引っ越すことになった暁は、私と颯太にだけそのことを告げた。 だから私はわんわん泣いて、颯太は笑って送りだした。 その日は、淡いピンク色の花の中に閉じ込められたような、おぼろげな記憶だ。 この田舎では暁の手術はできないのだと大きな病院のある都会へ消えた。 親からも何も聞かされないで、私はすっかりヤサグレていたのかもしれない。
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