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「でも、俺、ちょっと考えたんだけど」
「うん?」
「親が居なくなった時、姉ちゃんが苦労してくれたじゃん。そんな苦労する子どもを助けたいなって。そーゆうのって施設で働くとかになると、資格いるみたいなんだよね」
「そうそう。やっぱ世の中、学歴は会ったほうがいいよねえ。なりたい職業には大体資格が必要になっちゃうもんね。でも資格なしでも働けるところあるんじゃない?」
「そうなんだけど、だったら――」
色々と思ったことを話すうちに、姉ちゃんの顔がポカンとしだして来た。
「すごいね。あんたってそんな風に色々考えてたんだ」
「……なんだよ。俺が考えるようになったのは姉ちゃんが俺を育ててくれたおかげだろ」
「あはは。一応、ちょっとの間育ててくれた親も忘れないで」
「……でも多分、野垂れ死んでてもどんな顔していいか分からねえよ」
「確かに!」
あははと豪快に笑う姉ちゃんにも、親に対する負の感情はなさそうだった。
ただ、気分が悪いのでのたれ死ぬことなく生きていればいい。
俺達を捨ててまで行きたかったんだろうから。
「じゃあ、そっちに就職するんだ」
「まだ分からねえよ。難しいし。でも、資格とるために編入は金銭面を考えると嫌なんだよな」
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