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「なんで俺がそんなダサい名前のパンを買わなきゃいけないんですか。それより今日は、会議あるんですからさっさと行きますよ」
「かじゅ~~~」
「うわ、離して下さいっ」
駅の隅っこでこそこそ言い争っていたが、先輩の腕を払いのける為に身体を大きく動かしたら、ころんと通路へ転がってしまった。
くそ。恥ずかしい。
「か、かじゅ、大丈夫か?」
慌てて手を差しだそうとしてきた先輩より早く、甘い匂いの手がふわりと俺の前に現れた。
「大丈夫ですか?」
「はい」
彼の手に支えられ、起き上がった俺は、――もう目が離せなかった。
引き締まった身体、甘くて良い匂い。
爽やかで清潔そうな笑顔。
嗚呼、監禁してその膝の上で一日中甘えてみたい。
俺の抑えているありとあらゆる欲望を、刺激するような理想的な存在。
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