イち。

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「ねえねえ、今夜暇?」 隣のディスクの岡本藍理が、メガネを人差し指で上げながら頬を染めてこちらを見てくる。 朝っぱらかコイツ、ナニを考えてるんだか。 「今日は何?」 「男の娘用のセーラー服!ピッラピラでテッカテカの安物じゃないの。本当の制服っぽくなってるの」 「で、俺に着せるの?」 「うん。着せて仲村くんでも踏んでほしい」 「……」 朝っぱらからこいつはやはり、ナニを言っているのか理解不能だ。 だが、付き合いは大学からと古い上に、こいつに株やFXが向いていると薦められたおかげで今がある。 「新しい玩具もあるよ。どうする?」 「会議が長引くと、次の日が辛いからなあ」 岡本も、エロい眼鏡に爆乳、ムチムチした太ももと、うちの会社でも狙っている奴は多い。 なのに、こいつは……。 「じゃあ玩具仕込んだまま仕事するとか!」 「BL本の読み過ぎだ。バカじゃないの?」 極度の腐女子である。 しかも金も権力もある系の、面倒くさい腐女子。
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