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第一章:アルド旅立つ
冷たい風が吹く季節。この年この日、僕は教舎における7年間の課程を終えて、無事卒業することができた。
僕はこれから冒険者になる!
そう意気込んで、教舎からの帰り道を穏やかに興奮しながらゆっくり歩いていた。教舎に通った7年間を思い出しながら。いつもは数人の仲間たちと帰っていたが、この日だけは一番最後に教舎の建物を出て一人で帰っていた。
「これから冒険者になるんだ。」
こんなにも感傷的な気分となっている理由は、アルデはこの町から旅に出ようと考えているからである。
「今度はいつこの町に帰ってこれるかな」
この世界において旅はとても危険なものであった。町の外にはモンスター、盗賊、未開の地等があり、危険でないものの方が少ないくらいであった。町を出て他の村や町、国へ向かうのでさえとても大変な旅となるのである。アルドはいろんな町や村、国等を渡り歩いてみたいと考えていたのでそこには大きな不安もあった。
「でも、モンスター退治をして国から国を渡り歩いている旅人も普通にいるからまあ、なるようになるよな。」
因みに、アルドは冒険者になることを家族や友達に話したことはなかった。どうせ、いなくなるならシレっといなくなりたいと考えていたからである。ただ、今日、家を出て行く前に親には言おうと考えていた。
「アルド!お前は何を考えているんだ!ならん!冒険者になるなんて絶対にならん!」
言ったら、父親は激怒した。
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