1人が本棚に入れています
本棚に追加
マドリアラス皇国の王都から一つの山と二つの湖を隔てた草原の向こう側の町、マドリアラス領テルミウス。石工の盛んな町で都に負けないほどの石造りのの大きな建物が目立つ町である。テルミウスは三つの大きな貴族といくつかの貴族により治められていた。
その貴族の一つヘルデント家は重大な危機に直面していた。ヘルデント家現頭主のベルゼクロウル・アガト・ルオ・ハイドルゲン・ヘルデントは、今日、衝撃的な事実を知ることとなった。
「父さん、僕は冒険者になります。12年間僕を育ててくれてありがとうございました。今日、荷物をまとめて家を出ます。」
この日、7年間通った教舎を卒業し、ヘルデント家の時期頭主として育てていこうと考えていたたった一人の息子のアルドライトからこのように告げられた。
あまりの出来事にベルゼクロウルの頭は真っ白になった。一緒にそれを聞いていたアルドの母親はどうしたものかとおろおろしている。
「アルド!お前は何を考えているんだ!ならん!冒険者になるなんて絶対にならん!」
ベルゼクロウルはとっさに怒鳴ってしまった。
「父さんがなんと言おうと、僕は冒険者になります!」
アルドは父親の勢いに負けず、強くそう言った。
「うぐぐ、許さん!おい、セレン!アルドを部屋に閉じ込めておけ!」
ベルゼクロウルは召し使いの一人にそう命令して、この場から立ち去ろうとしていた。
「セレン!僕に触れるな!」
「アルド様すいません。ご頭主の命令なのでおとなしくしてください。」
「父さん!何をしたって無駄だからね。」
「お前は自室で頭を冷やせ!」
ベルゼクロウルは最後にそう怒鳴り、部屋を出ていった。
僕は自分の部屋に閉じ込められて外から鍵をかけられた。ため息を一つつき、ベッドに座った。
最初のコメントを投稿しよう!