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「それはそうですけど」
京介は元々、ある邸で働く執事。
ありとあらゆる礼儀作法と美しい所作を完璧に叩き込まれた人間だ。
「だから凡ミスでミッションが失敗する事は、先ずない」
上川は自信を持って言い切る。
人前で証された思いもよらぬ信頼に、京介は思わず口を接ぐんだ。
「さ、早く着替えろ。カツラとカラコンは特注品だからな」
上川に急かされた為、京介は黙って着替えに行った。
「はぁ~い。出来上がり」
と、おみつがルージュのキャップを閉める。
メイクは一時間程で終わった。
「どれどれ」
上川が京介の顔を覗き込んだ。
興味のあるエミリアもそれに続き
「amazing! 本当に私!」
と、見るなりその出来映えに驚いた。
緩やかなウェーブのアッシュベージュの髪の質感も、オリーブ色の瞳も細部まで作り込まれていて着けているという違和感がない。
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