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更におみつの技術が施した透明できめ細やかな肌、人形のような目元、愛らしい頬、大人びた艶やかな唇まで。
その全てに於いてエミリアを研究し尽くしていて、非の打ち所は一つもない。
それ程、彼女と瓜二つの姿で仕上がっていた。
「完璧だな。俺でもキス出来そう」
その全てを手配した上川が満足そうに言う。
「止めて下さい、気持ち悪い。見過ぎです」
「喋ると京介だな……」
エミリアの顔から発せられた低い声に上川もは背筋を寒くした。
「お前、声出したらバレるぞ」
「分かってます。極力喋らないようにしますんで」
そう言って、京介が立ち上がる。
ドレスの裾の捌きは手慣れたものだった。
「よし、行くか」
「はい」
「あ、あの!」
現場に向かおうとした二人をエミリアが呼び止めた。
振り返ると同時に、彼女は胸の前で十字架を切り指を組み、二人に祈りを捧げる。
「私のために尽力してくださる勇敢なお二人に神のご加護を。……上手く行く事を願っています。どうかお気をつけて」
「ありがとうございます」
京介は笑顔で礼を言うと上川の後に続いた。
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