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試食会の会場は屈指の有名ホテル。 その荘厳なエントランス前に上川は車を停め、降りた。 それと同時に自動ドアが開き、先に来ていた四係の三人が出迎えに駆け寄って来た。 「お疲れさまです」 そして口々に上川に声を掛ける。 「ああ、どうだ?」 「検索と消毒終了してます」 「ホテルとの再度の確認も終わりました」 「強行犯係の村井係長が尋ねたい事があるとお待ちです」 それぞれの報告に上川が相槌を打ち、テキパキと確認が進んで行く。 「わかった。紹介する、今回のマルタイのエミリア・カーソンさんだ」 そう言って上川は後部座席のドアを開けた。 サラリとドレスの裾を揺らし、エミリアの姿をした彼が降り立つ。 オリーブ色の瞳を三人に向け、そよいだ風にアッシュベージュの髪を靡かせながら頭を下げた。 そして再び顔を上げ、柔らかな笑顔を彼らに返す。 その見目の麗しさと仕草の美しさに、三人は息を飲んだ。 「あ……そう言えば」 我に返らねば、と一人が口を開く。 「瀬羽須は?上川さんと一緒に彼女を迎えに行ったんじゃ」 そう言われ心臓がギクンと音を立てたのは、当の本人だった。
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