The Secret Service ～SP瀬羽須京介の可憐で波乱な一日～

２

「咄嗟だったんだよ。変な間を作ったら怪しまれるだろ」

「聞かれたらこう言おうって決めてたクチじゃないですか？」

全く考えていないように見せて、実は細部まで考えて尽くし用意している。

それがこの上川という男だと、京介も知っている。

「そう怒るなよ。さっきの上出来だったんだから。事前に写真を見せて似てるとは言っておいたが、何の疑いもなく皆お前に釘付けだったな」

思い出した上川がくっと笑うと、隣で京介が、当然です、とばかりに鼻で息をつく。

「本番もそんな感じで頑張って、“京子ちゃん”」

さあどうぞと、上川が中に入るよう促す。

京介は一瞥してから背筋を伸ばし、それに従った。

あと30分もすれば、会が始まる時間。

ホテルに用意してもらっていた部屋から京介と上川が出ると、ドアの外には四係の三人が控えていた。

宜しくお願いします、の意味を込めて京介が丁寧に頭を下げる。

「行こう」

緊張感のある上川の掛け声と共に、京介を囲む陣形が取られ会場まで進んだ。