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「すみません」
「で、因みにこのテーブル担当は俺な」
そう言って見せられた京介の右隣の席札には、上川の名前が印刷されていた。
感情を声にはせず、表情で目一杯拒絶を表す京介。
「美人が台無し」
と返して上川が席に着いた。
「いいんですか?」
目で辺りを探りながら京介が声を掛ける。
「いいんだよ。この席はエミリア嬢が特別に設けてもらったって事になってる。勤務中だから料理にも手は付けない」
心配するな、と上川は場に合わせ紳士的に脚を組んだ。
そして京介の方を向く。
「……という訳で、設定は恋人でいいか?」
「他人でお願いします」
「止めろ即答」
「ここに来て打ち合わせと違うからですよ」
「お前が拒否んの分かってたからな」
私的な感情は受付ないとでも言うように、上川はそっぽを向いた。
「お前は喋れないから通訳的なポジションが必要。あと下心のある奴が来たら面倒臭いからその事前対処。今もこうして親しく話している風を見せとけば、気軽に寄って来る奴は減るからな」
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