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どちらからともなく、目で合図を送り合う。 「周囲を警戒。変わった事はないか」 袖口に仕込んだ小型の無線で上川が応答を呼び掛けた。 その間に京介は五感を研ぎ澄まし、引き続き実行犯の居場所の手掛かりを探す。 上川の方には特にこれといった情報が入らない。 「メインディッシュでございます」 テーブルには子羊の肉を使った料理が並び始める。 ひとつ、ふたつと。 センスの良い白磁の皿に盛り付けられたその美しさは、招待客の歓喜のため息を誘う程。 京介は対面する席に並ぶその料理をじっと見つめた。 「お待たせ致しました」 ウェイターが京介の側へ来た。 「本日のメインディッシュは……貴女です」 京介の額に不気味にひやりとした拳銃の銃口が当てられる。 上川が気付くその一瞬早く、 「だと思ったよ」 京介が低く声を発し、不敵な笑みを浮かべた。 そして引き金が引かれるよりも早く下から押し上げるように銃身を天井へと向ける。 弾はシャンデリアに当たり、砕ける音と共に一部が落下した。
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