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銃口が上川を捉える。 京介が間合いを詰めて標的の拡散を試みるが、冷静な相手には効果がない。 ならば、と京介はそのまま拳銃を持つ犯人の腕目掛けて突っ込んだ。 両手で掴み、体を反転させ勢い任せに投げ飛ばす。 男の体は宙を舞い、テーブルの上に仰向けに落ち食器を粉々にした。 その拍子に男が持っていた拳銃は、その手から放り出されていた。 「クソッ」 直ぐに体を起こした男が京介を睨み付けて悪態をつく。 そしてテーブルから下りると、今度はサバイバルナイフを構えた。 「交代だ、京介」 京介の前に上川が立つ。 「ドレスじゃ動きに支障が出るだろ。銃さえなくなりゃこっちのモンだ、下がってろ」 吠えながら向かって来る男を、上川が見据える。 突きを左右に二度避け、拳を見舞う。 今度は振り下ろされたナイフを受け止め、押し退けるようにして距離を取った。 フッ、と上川が息を吐く。 駆け出し、そして一瞬にして距離を詰め男の前で飛び上がると体を捻り、頭部目掛けて重たい回し蹴りを喰らわせた。
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