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「上川、瀬羽須、ちょっと」 その日の仕事を終え戻った早々、二人は個室に来るように課長に呼ばれた。 「さて二人共、既に察しているとは思うが」 並んで立つ彼らを前に、唯一パイプ椅子に腰掛けた課長が話を切り出すと、 「やれやれ、またですか」 と、人差し指と中指で雑に顎を掻きながら上川 陽聖が面倒臭そうに言った。 「上川さん」 上司の前でそんな態度を取るなと彼を制するのは、上川の部下である瀬羽須 京介。 「いや、気持ちは分かる。たがな、お前たちにしか頼めないんだ」 良くも悪くもそうなのである。 依頼が特殊である事。 それ故に秘密裏に行われたり、様々な条件を付けらる。 それは警護科の許容範囲を越えるものが多く、並みのSPには遂行する事が難しい。 たが、これに対応出来うる能力を持った人材が四係に属する上川と瀬羽須、この二名なのである。 「……でだ、今回の警護対象者がこの方だ」 課長が机の上に置いた数枚の資料の上に、人物の写真が二枚乗せられていた。
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