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「父から、私を警護するように?」
翌日、上川が一人、事情を説明するためにエミリアの自宅を訪れていた。
エミリアは外観も内装もセキュリティも文句なしの一等地の高層マンションの最上階に住んでいた。
上川がマンションの真下で上を見上げて「うげ」と本心を吐いてしまった、というのは内密の余談である。
話を戻そう。
エミリア本人は上川の言葉を受け、目を丸くした。
上川が先程、警察手帳を見せて身分証明した時も今と同じ顔を見せた。
本当に彼女は何も知らないようだ。
父親の裏の顔も。
ある意味、可哀想なお嬢さんだよな、と思いつつ
「近々パーティーにご出席されるそうですね」
と、上川が手元にある資料を元に打ち合わせを始めた。
「パーティーというか、知り合いのシェフが作る新作料理の試食会に呼ばれています」
元々日本語に興味があって語学留学しているだけに、上川が内心関心する程、彼女は日本語が流暢で堪能だ。
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