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「他校の男子_? ああ。華京院高3年で、空手部の主将だ」
「空手部?! 」
「昨日、ウチの空手部と親善試合だったんだ。アイツと試合して、まあ、オレが勝った訳だけど……名前は_、忘れた」
「……そうか」
たまたま親善試合で来た男と?!
ソッコーでヤれる程、軽そうなヤツには見えなかったけどな…。
まあ…もう会うこともねぇけど…。
「オイ!そこの水引コンビ!授業始めるぞ!」
数学のセンコーが入ってきた。
何だよ。
金と銀で、水引ってか?
オレは良いけど、確かコイツは…
「悪ィな。またな」
苦笑いを浮かべた空色の瞳が、悲しげだった。
ヅッキーの髪と瞳は、自前だ。
その事は、地雷だと聞いた事がある。
こんなイイ男なのに。
オレだったら、もっと最大限に利用するのにな。
だから余計な事かもしんねぇけど、つい言っちまった。
「ヅッキーの空色の瞳、オレは好きだぜ」
お世辞でも何でもなく、これは本心。
どこか、懐かしささえ覚えていた。
一瞬、すげぇ驚いた顔をしていたけど、
「お前に言われてもな」と、一言添えてから、「まっ、サンキュ」と、儚げに笑った。
「紫津木!女子が落ち着かないから、早く教室出て行って欲しいんだが?」
「すんません!」
「じゃあな」と、口パクでオレに告げ、教室の扉を閉めた。
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