2917人が本棚に入れています
本棚に追加
オレは、そのまま教室に入っていき、目の前でヤツに声をかけた。
「話がある」
「…で、でも、もう直ぐ授業…」
「レンは、腹痛だ。保健室に連れて行く。センコーには、そう言っとけ」
大きな声で周りに告げ、「これでいいだろ?」と、見下ろすと、小動物のように怯えた瞳で、「で、でも」と、まだグダグダ言いやがった。
「オレはアンタに触れちゃいけねぇんだろ?さっさと立て!」
やっと立ち上がった。
オレが先に歩き、保健室に誘導する。
「茜。借りるぞ」
「ここは、ラブホじゃないのよ」
「そんなんじゃねぇ」
レンをベッドに座らせ、カーテンを閉めた。
「ひとつ確認したい事がある」
「…はい」
「あん時の_」
ん?…いや…ちょっと待て。
昨日、答えられなかったのは、相手が兄だったからだ。
それを今…問い詰めて、どうする?
兄にヤられていた事がオレにバレて、尚更、心閉ざすんじゃねぇの?
それに、もう訊かない約束だ。
オレには、カンケー無い。
「……先輩?」
怯えながらも、オレを見上げるレン。
お前……兄にヤられてんのかよ…
例え兄だとしても、大事にされてるなら、オレは何も言わねぇよ。
でも違うよな?
「東雲先輩…?」
「…なあ……もう1回ヤらせて」
ぁ…
今…オレ…何…言った…?
そう気づいた時には、既に遅くて
バチン!!
…平手打ちされてた…。
「サ、サイテーです!」
カーテンが破れんじゃねぇか?ていうくらい、おもいっきり引っ張って出て行きやがった。
まあ、当然だな。
「れーじ。ああいう子の扱いは慣れて無いのね」
カーテンの隙間から、ニヤニヤしながら腕組みしてる茜が見えた。
「うっせぇよ。ほっとけ」
頬に残った小さなもみじを見て、アキは、大きな溜め息をついて「お前は、何をやってるんだ?」と、呆れていたが、何故かサクラは、楽しそうだった。
チリチリと頬の痛みは、しばらく続いた。
最初のコメントを投稿しよう!