pf. 2

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その日の昼休み。いつもの昼寝ベンチに行くと、レンも、昨日と同じ場所で読書をしていた。 場所を変える事はしなかったんだな。 どうする? 知らねぇよ、オレだって… ああっめんどくせぇ! 昼寝の度に、モヤモヤすんのも癪だしな。 レンの隣に正面を向いたまま、ドカリと足を組んで座った。 「なっ…何ですか?」 視線が痛いな。 さあ、何て言う?もう、失敗は出来ねぇよ。 目だけで、隣のヤツを見る。 何でそんな顔すんのかな。 大型犬に立ち向かおうとしているチワワみてぇ。 でも、隙だらけ。 ったく。しょうがねぇな…。 「オレの事、嫌いなままでいいから、 そばにいろ」 「……ぇ…っ…?」 「そばにいろって、言ってんの。 その代わり、お前のグチでも弱音でも何でも聞いてやる」 「……そんな事は…友達に話します」 「お友達に話せない事もあるんじゃねぇの?」 と、ニヤリと笑って見下ろすと、 ハッとした顔をして、目を伏せてしまった。 また、やっちまったかな。 「今日のところは、これでもやるよ」 ポケットに入っていた、イチゴの包み紙のアメを渡した。 手の平にのせてやったそれを見るレンの顔は、少し和らいだ気がした。
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