pf. 4

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「寝ないのか?」   オレは、客間から持ってきた布団を一組、部屋に放り投げながら訊いた。 「えっ?ぁ…あの…オレが、その布団で寝ます」 「あ?何で? この布団、しばらく干して無かったから、痒くなったり、くしゃみが出たりすっかもよ? だから、そっちで寝とけ」 「でも…」 「それ以上、グダグダ言ったら、オレもベッドで寝るぞ」 「ぁ…はい。ぉ…おやすみなさい」 慌てて、ベッドに潜り込むレンを見て、ちょっと複雑な心境になった。 自虐? 自分で言っといて、何落ち込んでんの? 寝よ寝よ。 布団を整え、明かりを消した。 しばらくすると、寝る位置が定まらないのか、布団の擦れる音がしきりに聞こえてくる。 「どうした? 眠れないのか?」 「ひやぁ! ぁ…っ…だ、大丈夫です!」 慌てて否定するレンの事が、可愛く思えてきた。 てか、驚きすぎだろ。   「そんなに眠れないなら、添い寝してやるか?」 ワザと艶っぽい声を出そうとしたが、ダメだ。口許が緩んでしまって、締まりのない声になってしまった。   「か、からかわないでください!」 「だったら寝ろ。寝ないと、明日キツいぞ」 「…はい」 ったく。オレは、母親か? 「先輩?」 「なんだ、添い寝か?」 「ちがっ違います!」
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