pf. 5

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***** 「ほら」 玄関で、親父に弁当を渡す。 「いつも、ありがとう」と、言いながら、弁当をじっと見ている。 ああ。 「ピーマンは、入れてねぇよ」 「そっか」 と、子供みたいな笑顔を見せる親父。 ったく。 「蓮君、また遊びにおいで」 「はい。ありがとうございます」 それから、いつものように、お袋にキスをしてから、出て行った。 「んじゃ、オレ達も行くぞ」 「は、はい!」 ぁ…そうだ。今、渡すか。 「これ、お前の分」 靴を履き終わったレンに、弁当を手渡した。 「ぇ…こ、これ?」 「一個作んのも二個作んのも、同じだから」 「ぁ…ありがとうございます!」 にかぁっと、満面の笑顔になった。   うわぁ。オレにもそんな顔見せてくれんのかよ。 家電量販店で貰った、クマのキャラクターの弁当箱、処分しなくて良かった。 ぁ… 「オレが作ったって事は、内緒な」   「ぇ…?どうしてですか?」 「イメージってもんが、あるだろ?」 「わかりました」 と、また笑顔。 こんな笑顔見せてくれんなら、毎日作ってやってもいいかな。_て、オレは嫁か?!
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