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「ほら」
玄関で、親父に弁当を渡す。
「いつも、ありがとう」と、言いながら、弁当をじっと見ている。
ああ。
「ピーマンは、入れてねぇよ」
「そっか」
と、子供みたいな笑顔を見せる親父。
ったく。
「蓮君、また遊びにおいで」
「はい。ありがとうございます」
それから、いつものように、お袋にキスをしてから、出て行った。
「んじゃ、オレ達も行くぞ」
「は、はい!」
ぁ…そうだ。今、渡すか。
「これ、お前の分」
靴を履き終わったレンに、弁当を手渡した。
「ぇ…こ、これ?」
「一個作んのも二個作んのも、同じだから」
「ぁ…ありがとうございます!」
にかぁっと、満面の笑顔になった。
うわぁ。オレにもそんな顔見せてくれんのかよ。
家電量販店で貰った、クマのキャラクターの弁当箱、処分しなくて良かった。
ぁ…
「オレが作ったって事は、内緒な」
「ぇ…?どうしてですか?」
「イメージってもんが、あるだろ?」
「わかりました」
と、また笑顔。
こんな笑顔見せてくれんなら、毎日作ってやってもいいかな。_て、オレは嫁か?!
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